工業会活動報告

展示会講演会 参加・見学報告

第12回(平成30年度第3回)溶融シミュレーション研究会 参加報告

研修会名:第12回(平成30年度第3回)溶融シミュレーション研究会
視察先(主催):ニューガラスフォーラム

調査目的:ガラス生産に関する情報の収集のため

内容:
①「品質安定化を目的としたプロセスデータ解析サービス」
横河電機㈱ 高度ソリューション事業部 MI部 解析ソリューション課 山本 徹 氏

②「レーザガス分析計TDLS8000による直接高速ガスセンシング」
横河電機㈱ 科学機器営業統括部 セールスエンジニア 奥田 葉子 氏

③「自励振動現象を利用したガラス溶解炉向け酸素バーナ「Innova-Jet F.H.」の開発」
大陽日酸㈱ 開発本部 山梨研究所 燃焼技術部長 萩原 義之 氏

④「排ガスの脱硫脱硝技術に関する研究開発 実証実験と流体シミュレーション-」
日本山村硝子㈱ 環境室 兼 大阪府立大学 客員研究員 山本 柱 氏

詳細:
今回参加した4題目の講演について報告する。
①品質安定化を目的としたプロセスデータ解析サービス」
製造現場では不良品の発生、生産の遅延、品質に対するクレームがたびたび発生する。横河電機はデータ解析ソフトウェアProcess Data Analyticsを用いて製造プロセスにおける多種多様な情報を一元化することにより、現場にて起こる問題を解決している。

②レーザガス分析計TDLS8000による直接高速ガスセンシング」
モノづくりにおける安全や法律を守るための分析においては、適時性、連続性、再現性が求められる。横河電機のレーザガス分析計TDLS8000はレーザーを配管内の気体に通し、その減衰から気体の組成を瞬時に分析することができる。この分析計は機械部分と気体との間に接触部分がなく、可動部も存在しないため、溶鉱炉といった過酷な環境でも問題なく稼働することができる。

③自励振動現象を利用したガラス溶解炉向け酸素バーナ「Innova-Jet F.H.」の開発」
燃焼において、酸素の割合を増やして燃料を燃やすと熱効率が増大し、NOxの発生を抑えることができるが、火炎からの輻射熱が減少するデメリットもある。大陽日酸の開発した酸素バーナ「Innova-Jet F.H.」は燃料に対して供給される気体の酸素の濃度を周期的に増減させることにより、火炎からの熱を減らさずに熱効率を上げ、NOxの発生を抑制している。また可動部なしに火炎の向きをスイングする機能を持ち、熱を偏りなく炉内に分散させることができる。

④排ガスの脱硫脱硝技術に関する研究開発 ?実証実験と流体シミュレーション-」
ガラス炉における燃焼反応では窒素と酸素が結びつき、窒素酸化物いわゆるNOxが形成される。また燃料を燃やすと燃料中の硫黄成分から硫黄酸化物いわゆるSoxも発生する。これらの物質は環境に対して有害であり環境負荷の低減のため除去することが求められている。日本山村硝子はオゾンと水酸化ナトリウムを用いることにより、NOxの反応物とSoxの反応物を反応させて同時に除去する技術を開発した。

所感:
ガラス業界は技術の発展の余地が比較的少ない業界と考えていたが、実際には有用な最新技術が次々と開発されていることがこの研究会に参加することでわかった。操業の効率化、炉の熱効率の向上、排ガス規制のクリアはどこのガラスメーカーも気にしていると思われるので、少しづつでもこのような最新技術を取り入れていくべきであると感じた。

以上。

開催日程 2019年3月15日
参加人数 1名
場所 日本ガラス工業センター