JASIS’18 視察報告
2018年9月15日
概要:JASIS’18(Japan Analytical & Scientific Instruments Show)は、日本分析機器工業会主催の分析展と、日本科学機器協会主催の科学機器展が2012年から合同で開催することになった展示会です。 今年も幕張メッセの展示ホール3~8で開催されました。 入場者数は合計で23,697名でした。(主催者発表)
展示:分析器が中心の展示会なので、ガラス製品の展示はありませんが、ガラス製造における品質管理を対象とした分析機器は多数展示されていました。その中で印象的に残ったものを記します。
○株式会社リガク
株式会社リガクは、X線回析や熱分析において、ガラスの分析には親しみのあるメーカーです。多数の分析機器が展示されていたなかで、以下の機器に興味を持ちました。
・蛍光X線分析装置 ZSX Primus IV
この装置はガラス中の元素分析(定性・半定量)が簡便におこなえるものです。蛍光X線分析装置自体は従来からありますが、測定時間が従来の半分程度になっているそうです。
・熱機械分析装置 Thermo plus EVO2 TMAシリーズ
膨張係数やガラス転移温度を測定するTMAは古くからあるガラスの分析装置の一つですが、最新型はどうなっているのか興味がありましたが、外観が格好良くなっていること以外は特に違いが判りませんでした。
○株式会社 堀場製作所
堀場製作所は自動車関連の燃費や排ガス等の分析装置で有名な会社ですが、リチウムイオン電池を初めとするエネルギー分野や医療関係の分析装置も多く出展されていました。 ガラス関係では、蛍光X線や分光装置以外にも、洗浄水のpH分析機が多数展示されていました。
○株式会社 島津製作所
ホールの中で最大規模のブースに種々の測定機器を展示していました。 そのなかでも液体クロマトグラフ関係の装置がメインと思われましたが、ガラスの分析関連では蛍光X線分析装置に面白いものがありました。
・エネルギー分散型蛍光X線分析装置 EDX-7000/8000
この装置は炊飯器を大きくしたような外見が特徴的です。簡便にかつ高速で定量分析を行えるということでした。EDX-7000は検出元素範囲が周期表のNaからUまで。EDX-8000はCからUまで可能ですが、いずれもP以下の軽元素の測定の際には窒素もしくは真空雰囲気にする必要があるそうです。
所感:結果的に蛍光X線分析装置の報告になってしまいましたが、他のガラスの品質管理に使う分析機器は従来とは変わらない印象でした。 ガラス関連以外では、においや味といった感覚的なものを数値化する評価機器が多く展示されていました。 また、機能は同じでも小型化・廉価化されている分析機器、例えばラマン分光装置やハイパースペクトルカメラなどは、製造業や医療そして農業の現場に多く普及していく可能性があると思われました。
以上。