OPIE 18′
2018年4月30日
概要:OPIE’18(OPTICS & PHOTONICS International Exhibition)は毎年横浜で開催される光とレーザーに関する展示会で、「レーザーEXPO」「レンズ設計・製造展」「赤外・紫外応用技術展」「ポジショニングEXPO」「メディカル&イメージングEXPO」「宇宙・天文光学EXPO」「産業用カメラ展」という7つの展示会の総称です。 今年もパシフィコ横浜の展示ホールA、Bで開催されました。 入場者数は主催者発表で16,000人超と、この分野の展示会としては盛況だったと思います。
展示:展示会の中で、ガラス関連で印象的だった展示内容を報告します。
○株式会社住田光学ガラス
住田光学ガラスは光学ガラスメーカーですが、レンズやファイバー等の光学製品までを一貫生産できる会社です。一般的に光学ガラスメーカーはガラス素材を生産し、それをレンズに加工するのは別の加工業者が行うという分業体制がとられています。
今回のブースで来場者の注目を集めていたのが、赤外線透過ガラス「K―FIR100UV」です。 これは、可視域から5μm程度までの赤外線をほぼ100%透過する光学ガラスで、その透過域の広さ以外にもガラスの波長に対する屈折率の分布を示すアッベ数が101という性能を持つことが注目されていました。アッベ数で100を超えた光学ガラスは殆どなく、同業他社も注目しているとのことでした。またこのガラスは材料に酸化物を含まないフッ化物ガラスということで、フッ化物ガラスがもつ低フォノン性を赤外域における透過性に生かした例と思われました。
○日本電気硝子株式会社
膨張がほとんど無いというゼロ膨張ガラスとIR高吸収フィルター及び赤外線透過ガラスの展示がありました。
この中で、IR高吸収フィルターは、古くからCCDカメラ等の赤色補正の為に使われているIR吸収フィルターの新製品で、従来品が0.2㎜の厚みが必要だったのに対し、0.1㎜の厚みで同等の吸収特性を得るといいます。2倍の吸収特性を得るためには、IRを吸収する遷移金属である2価の銅イオンの含有量を2倍にすれば良い理屈ですが、可視域の透過率を損なわずに達成するには、ガラス組成の最適化が必要だったということです。
○松浪硝子工業株式会社
大阪硝子工業会の会員企業です。非球面レンズ等の成形レンズと各種色ガラス(カラーフィルター)を展示していました。色ガラスには新製品も数点ありました。赤外線透過ガラスや紫外線透過ガラスなど、可視光線以外に着目したガラスが多く展示されていたのが印象的でした。
また、光ナノインプリント技術を使ったモスアイ構造をもつ板ガラスの展示が目を引きました。光ナノインプリント技術は、微細加工された金型パターンを、紫外線硬化樹脂を用いて薄板ガラス上に転写する技術です。樹脂のみで加工すると変形が大きく、一方、ガラスに直接微細加工を転写することは困難なため、樹脂とガラスの長所を生かした技術と言えます。今後、種々の実用化が期待できると感じました。
以上。