2014年11月4~10日 ヨーロッパ海外研修 ご報告
2014年11月14日
2014年11月4日~10日にフランスのバカラ博物館、イタリアのVenini社、Massimo Lunardon社を訪問いたしました。
■バカラ博物館(フランス・パリ)
バカラ博物館はパリ市内の閑静な住宅街の中にあり、 周囲には大使館や富裕層が集まるようなエリアにあります。 パリ市内の建物はみな周囲の建物と調和がとれており、町全体に統一感があります。 バカラ博物館も同様で、外観は周りの建物と同じような感じで、通り過ぎてしまいそうになるくらいです。 一方、中に入ると、エントランスは映画祭にでてきそうな赤絨毯に豪華なシャンデリアがあり、まさに別世界でした。 館内には、フランスの国王ルイ18世や、大統領、様々な著名人がバカラ社にオーダーして作らせた様々なガラス製品を見ることができました。 どのデザインも重厚感や透明度が高く、カッティング部分の輝きはとても言葉では言い表せないものがありました。
■Venini社(ベネチア・ムラーノ島)
ベネチア観光は主に本島のサンマルコ広場周辺になりますが、Venini社は本島の北側のムラーノ島にあります。 ベネチアンガラスは工芸技術の流出を防ぐ目的で、技術者をムラーノ島へ隔離したという歴史があります。 そのため、今でも小さな島に多くのガラス工房が建ち並んでいます。 Venini社の玄関はアトリエのようになっており、様々な作品が展示されています。 その中には、安藤忠雄氏がデザインした照明もありました。奥には作業場があり、一連の工程を見学することができました。 ブロー成形では、窯の中から水あめのようにドロドロにとけたガラスをパイプに巻き取り、 それを窯から出してパイプを回したり、コテのようなもので成形しながら形をつくっていく様子をみることができました。 長いパイプを軽々とバトントワリングのように回す様子は、素人がみても圧巻させられました。 一見簡単に回しているように見えましたが、パイプは10kgくらいあるとのことで、 とても重労働できつい作業ということがよくわかりました。作業は2人1組で作業を行っており、一人がブローし、 それを時々先輩職人が確認したり、また次の作業の準備をするなどしていました。作業時は言葉を掛けながらというより、 阿吽の呼吸でお互いの作業をよく見ながらタイミングを合わせて行っているようでした。
■Massimo Lunardon社(ベネチア・ヴィチェンツァ)
ベネチアの中心地から車で1時間くらいの郊外にあるMassimo社を訪問しました。 Massimo Lunardon氏が開いた工房で、14歳からガラスの製作に携わっておられます。 Massimo社の製品は手のひらに収まるサイズくらいのものが多く、デザインもユニークでとてもかわいいのが印象的でした。
■最後に
イタリア人は陽気でおしゃべりで、仕事もゆっくりっといったイメージがありましたが、 この工房での様子をみる限りでは全くイメージと違っていました。みなさん一言も話さず真剣に作業をされており、 一人一人が責任感を持って自分の仕事に徹しているのがよくわかりました。 ベネチアングラスの技術は、こうやって長く伝承され続けてきたんだなと実感することができました。