工業会活動報告

ガラス関連施設 見学報告

2013年10月22~25日 「タイ ガラス産業視察」ご報告

    一般社団法人日本硝子製品工業会様のご協力を得て、タイに拠点を持つ旭硝子様(以下AGC様)の工場見学の機会をいただきました。 AGC様はタイに7つの拠点を持ち、AGCフラットガラス・タイランド・パブリック株式会社様とAGCオートモーティブ・タイランド株式会社様の2社の工場を見学させていただきました。 同社は、首都バンコクから南東に60kmにあるチョンブリ県のアマタナコン工業団地にあります。 もう少し南下するとビーチで有名なパタヤがあるところです。 同工業団地は他にも日系企業が集中しており、アユタヤに拠点を持つホンダ社以外の自動車メーカーもこの工業団地の近辺に拠点があります。

    AGCフラットガラス・タイランド・パブリック株式会社様(以下、AFT社)見学 AFT社様はタイ国内に3箇所あり、今回訪問したチョンブリ工場では自動車用ガラス(板ガラス)を主に製造しておられます。 AFT社様で作られたガラスは公道を隔てて隣接しているAGCオートモーティブタイランド株式会社様に送られ、自動車に組付けできるように加工したり、 部品の取付けを行なうという流れになっています。板ガラスは、溶けた金属錫の上に溶けたガラスを浮かばせ平面にし、 徐々に冷やして引っ張って板状に成型を行なうフロート法とよばれる製法で作られています。 投入された材料がガラスになるまでの工程を丁寧に説明していただき、よく理解することができました。

    AGCオートモーティブ・タイランド株式会社様(以下、AATH様)見学 タイ国内での自動車向けガラスのシェアは75%(インドネシアでは100%)もあるそうです。 AGC様の世界シェアが30%ほどということですので、日系自動車メーカーが多く進出している東南アジアに強いということがよくわかりました。 自動車に使われるガラスは、合わせガラスと強化ガラスの2種類で大別され、前者はフロント、後者はドアやリアで使用されています。 合わせガラスは外側と内側のガラスの間に薄いシートのような中間膜がは挟まれており、 ぶつかっても突き抜けにくく、細かく割れて飛び散らないのが特徴です。一方、強化ガラスは先のとがったもので叩くと割れますが、 事故の際に脱出しやすいようにという理由があるとのことでした。自動車でガラスが使われる理由は、傷つきにくい以外に、 プラスチックを車に取り付けると外周の車体の重みでたわんでしまうからだそうです。 たわまないためには、ガラスの6倍ほどの厚みを必要とし、またコストもかかってしまうそうです。 普段自動車を乗っているだけでは気がつかないことですが、こいうった何気ないところに深い理由があるんだと感心させられました。

    工場見学後、近くのタイ料理のレストランにてAFT社の塩井社長、松岡副社長、AATH社の矢島社長との懇談の機会をいただきました。 駐在におけるご苦労話やタイ人の気質など現地で生活されているからこそわかある貴重なお話を聞かせていただきました。 特に印象に残ったのは、マイペンライ(「気にしない」「なるようになる」の意)というタイ独特の精神です。 計画性や効率を追及しすぎる日本人にとって、見習うべきところもあるのではと感じました。

    タイ視察を終えて
    タイは昨年大洪水に見舞われたにもかかわらず、日系企業は撤退することなくむしろさらにその勢いを増しているように感じました。 その理由は、インフラが他の東南アジア諸国よりも整備されており産業集積が進んでいるということにあるといわれていますが、 何より親日家が多く、日系メーカーにとってオペレーションしやすい環境が整っているということも大きな理由の1つになっているように思いました。 バンコク市内は日本車がたくさん走り、数年前に比べ大型のショッピングモールがたくさん出来ており、タイ人の購買力の高さを感じました。 また、航空路線を見てもシンガポールに並ぶアジアのハブ空港としての役割をもっており、今後ますます発展していくようにおもいました。 今後は製造拠点としてだけでなく、市場としての価値も高くなっていくのではないでしょうか。

    最後になりましたが、工場見学を快く引き受けて下さったAGCフラットガラス・タイランド・パブリック株式会社様、 AGCオートモーティブ・タイランド株式会社様に感謝申し上げます。

    開催日程 2013年10月22~25日
    参加人数 15名